本日の日経新聞に「ふるさと納税のあり方を問う」というタイトルで特集がありました。
愛知県知事の大村氏は
“「豪華な返礼品を全国の自治体が競っている今の姿は非常に問題だ」
「税金の浪費でしかない」
「名産品を行政が買い取るのは形を変えた公共事業だ」
「長い目で見ればむしろ地場産業の競争力を弱める」”
と手厳しい意見を述べています。
これらについては私は全く同意で、自治体が寄附でいただく税金の半数近く?を地元産業の振興に使い、さらにその税金の一部をふるさと納税の仲介業者に対し事務手数料や宣伝費用として支払っているはずです。
仮に寄付の使途を全額「福祉事業」に限定したとしていても、年間の予算から上記の費用を捻出しているので、 お金に色はないので同じことになります。実際に手元に残るのは寄附の3割程度でしょうか?
対策として大村氏は
“「たとえば返礼品の規模は納税額の1割までにする」”
と言っていますが、強制力を持たせるのは難しそうです。そもそも寄附に返礼品を贈ること自体に大きく疑問を感じます(最大限に利用している私が言うのもなんですが)。
礼状1枚でいいはずです。
神戸大学大学院准教授の保田氏は
“「自治体の資金調達にマーケティングの視点を持ち込んだこと」”
をふるさと納税の意義に挙げていますが、事実であったとしても、それはふるさと納税の役割ではありえません。後付けの議論です。結局そのように好意的に解釈するしかないという事でしょうか。
“「寄附をする人の大半は返礼品目的だろう。現状がこうなっている以上、状況は不可逆的で(返礼品をなくすなどの)議論をするだけ無駄だ」”
とのことですが、大半ではなく圧倒的多数でしょう。返礼品に関しては一度風呂敷を広げてしまうと廃止するのは不可能だと思います。
納税者に対し「税金をこんだけ収めてんだから、お礼ぐらいしろや」と一度勘違いさせてしまうとその認識を正すのは容易ではないでしょう。
仮に返礼品を禁止した場合、まず次の選挙で票が貰えなくなります。現実的には自己負担の増加、返礼品の上限の指針を制定(自治体が無視したら補助金を減らすなど)など徐々に制度を使いにくくしていくしかないように思います。寄附控除の上限額を減らすのは、現政権の菅官房長官が2倍に上げていますから、当面自民党政権には難しいと思います。
税金の使途を納税者が決められるのが利点だ!と主張する人もいるようですが、お金に色はないので全くもってナンセンスです。賛同できるの使途は水害や地震被害への援助ぐらいです。
私が首長なら例えば①自然環境の保護 ②福祉の充実 と仮に使途を限定したとすれば、昨年の納税額を参考に今年の寄附予定額を皮算用し、その分①、②に割り振る年間予算を減らします。
自分の出身地が仮に過疎地域で、その自治体の自然保護や保育の充実が達成できれば喜ばしく感じると思いますが、縁もゆかりもない地域の保育がふるさと納税さまさまでこんなに充実しました!とかTVで言われても、「じゃあうちの子の保育園落ちたはどうすんだよ」「待機児童じゃねーか」と思います。